Message 代表あいさつ

それは民話であり、
伝説であり、
言い伝へであり、
鎮守の森であり、
墓であり...

矢部 佳宏

統括プロデューサー・ディレクター
楢山集落19代当主

YOSHIHIRO YABE

Message

自然は、我々に恵みを与えてくれますが、脅威でもある存在です。

私は、ランドスケープ・アーキテクトとして、ヒトが住み続けられる地球について深く考えた結果、先祖から譲り受けた集落に移り住み、かつて先人たちが築いてきた知恵とは何か、を日々学んでいます。

「ならやま凮土譚」は、アートパフォーマンスや演劇作品のようであり、山岳修行のようでもあり、民俗文化の継承活動でもあり、もしくは体験型観光でもあるかもしれません。
かつて何百年も繰り返されてきた農村集落での暮らしのように、手間のかかった一期一会の体験です。

それは、私がこの集落での暮らしで、人と自然の”あはひ”に感じる、見えるようで見えなく、しかし空気のように確実に存在する、自然共生文化とも言えるものへの眼差しです。

それは民話であり、伝説であり、言い伝へであり、鎮守の森であり、墓であり、山であり、歌であり、伝統行事であり、そこに暮らす人々の心に宿ってきた畏敬の念であります。

自然の摂理に即しながら、その恩恵に授かるための知恵や技術は、文字の読めない人でもわかるように、様々な形で伝えられてきました。例えば伝統的な正月行事は1年間の農作業のシュミレーションであり、それは感性に訴える環境教育でありました。

一見、非効率であったり不合理であるような習慣・習俗にも、暮らしながら丁寧に見ていると、集落が持続可能になるよう、少しずつ知恵や文化として育ってきたものが多く、それらは近代化に伴ってその存在意義を見失い、今、失われていこうとしています。ですが、これからの時代には、このような自然共生文化と言えるような、自然観について深く考えたり、立ち戻ったりするセンスが必要です。

私は、風土が醸し出した土着文化とその風景は、日本の基層文化であり、非常に価値の高いものであると考えています。そして、そこに触れた沢山のアーティストたちも、その価値に共感してくれています。

私たちは、これまで我が国で生み出されてきた数々の素晴らしい文化や技術の背景には、我々が子供の頃から無意識に感じてきた、自然と人間の界に確かに存在する”あはひ”の力があると考えています。

この「ならやま凮土譚」は、2泊3日の旅のなかで、さまざまな”あはひ”を探し、見つけたものを語り継ぎ、未来を思い出す生まれ変わりの物語です。

かつてどこにでもあった当たり前の土着文化が生み出してきた力の源を発見し、
世界に捧げる新たな精神性と感性を身につける学びとなれば幸いです。

Profile

矢部 佳宏

統括プロデューサー・ディレクター
楢山集落19代当主

ランドスケープアーキテクト。一般社団法人BOOT代表理事、西会津国際芸術村ディレクター。㈱上山良子ランドスケープデザイン研究所で修行した後、カナダ・上海を経て、東日本大震災を機に西会津に帰郷。約360年続く楢山集落を19代目として継承しながら、ランドスケープ・アーキテクトとしての知識や経験を軸に、持続可能な地域づくりを研究。毎日の山暮らしの中で感じる様々な日本文化の知恵を分析しながら、「NIPPONIA楢山集落」「NextCommonsLab西会津」ディレクターなど、「故くて新しい未来」をテーマに、新しい暮らし方、新しい社会の組織・仕組みや、持続可能な地域経済の生態系について探求・実践している。

<一般社団法人BOOT
https://www.boot-diversity.com >

<NIPPONIA楢山集落
https://narayama-planetary-village.jp >

・narayama planetary village

現代の異郷訪問譚